ジョイセフの救援活動

六大新報 平成八年三月五日号掲載

「ジョイセフにも寄っていこうか」
昨年暮れ、所用で全真言宗青年連盟理事長の森 英真師と上京した時の出来事である。
思いついたらすぐに行動に移す。森師のいつものパターンながら、いささか驚いた。
「ジョイセフって何ですか?」
聞いたことのあるような、ないような単語である。
「ジョイセフは、国連人口基金、国際家族計画連盟とも協力しながら、アジア・アフリカ・中南米の開発途上国の人々の健康と幸せのために、健康・環境衛生教育、母子保険、家族計画の国際協力を推進している法人で、そこに僕の友人の尾崎美千生さんがいるんだよ。又その人が素晴らしい人でね。藤原君に是非紹介したいと思ったんだ。」
非常に難しい内容で、私たち一般人にとっては聞き慣れない固有名詞が飛び交い、又『国連』などという単語が入ってくると本質的にビビってしまい
「大変な所に行くんだな。尾崎さんて恐い人なのかな」
という不安と期待に胸を膨らませながらジョイセフのドアをノックした。
部屋の奥に通され尾崎さんを紹介していただく。思ったより優しそうな人で胸をなで下ろした。尾崎さんは新聞社の政治部記者として活躍されてきた人で、そのころから、発展途上国の人口問題に深い関心を持ち、この問題の推進に積極的に関わってこられた故福田赴夫元首相や現在ジョイセフ理事長の国井長次郎氏などと意気投合し、新聞社を退いた後もボランティア活動にかかわってこられた人物であった。
話を伺っている中に、大変興味深いことがあった。それは、ジョイセフでは現在使用済みプリペイトカードの収集を行っているということである。収集したカードを専門の業者を通して内外、特にヨーロッパのマニアに販売して、その益金の一部を事業資金に充てているということである。販売可能なカードは、NTTのテレホンカード、JRのオレンジカードとイオカード、日本道路公団のハイウェイカード、営団地下鉄のメトロカード、郵政省のふみカード、図書カード、中央競馬会のオッズカード、公営のバスカード、及び各私鉄のプリペイトカードなどである。 この使用済みプリペイトカードによってできることは

1枚 駆虫薬3錠を購入し、寄生虫に感染した小学校の児童に飲ませ、虫下しを行う。又、衛生教育も学校児童に実施する。

4枚 生まれた赤ん坊のへその緒を清潔で安全に切るカミソリを買い、幼児死亡率を減らす。

5枚 婦人会の料理実習に使うカップ1ケを買う。

5枚 手を洗う衛生教育教材として石鹸1ケを買う。

6枚 婦人会が自主的に運営する保育園に子供ひとりを1ヶ月間預け、手作りのおやつや給食を配り、栄養失調や栄養不良を減らす。

9枚 婦人会の料理実習に使うスプーン1ケを買う。

11 枚 保健婦や助産婦が母子保険や家族計画の巡回指導のため、町から村へ移動するバス片道代。

14 枚 婦人会員の技術訓練として、毛糸編み針を買い、村人に買ってもらった製品の代金はまた活動資金として還元する。

16 枚 トマトやキャベツの種1袋(25s)を買い、婦人会等の菜園活動の助けとする。

16 枚 村のメンズクラブが廃品のドラム缶1ケを買い取り、ドラム缶の厚い鉄板を再利用して鍬や鋤などの農具を作る。

18 枚 婦人会のメンバーに縫製を実習する時に使うテープメジャーを1ケ買う。

44 枚 婦人会のメンバーに縫製を実習する時に使うハサミをひとつ買う。

90 枚 雨が降っている時や、雨期にも野外で活動する助産婦や家族計画のフィールドワーカーが履く長靴を一足買う。

92 枚 雨期に村々を巡回指導するフィールドワーカーが使う傘を買う。

146 枚 大豆1袋(25s)を買い、農業を行い、村人のタンパク源とする。

214 枚 種ジャガイモ1袋(25s)を買い、農業を行う。

220 枚 トウモロコシの種1袋 ( 25s)を買い、収穫物は村人の主食とする。

4800枚  伝統的助産婦1名を3週間トレーニングし、無医村における安全な出産介助と産前産後の指導ができるようにする。

29000枚 収穫したトウモロコシの実を取るミリーングマシーン1台、あるいは稲の籾取り機1台を購入し、村人の農作業を軽減する。これらをきっかけに婦人会等の地区組織と協力して農業協同組合を作る運動等を始めながら、村おこしを図る。

・・・ などである。

この資料を見て驚いてしまった。普段何も考えずに捨ててしまっていたテレホンカードなどで人の生命が救える。何ともったいないことをしていたのだろうか。一人一人が気をつければ莫大な数のカードを収集することができる。そして、大勢の困った人達を救うことができる。何と素晴らしいことなんだろう。又、収集は決して難しいことではない。簡単なことではなかろうか。例えば神社仏閣の事務所の前に専用の箱を設置して、参詣者にひとことお願いの張り紙をしておけばいい。
このような運動が全国的に、あらゆる機関で実施されるようになれば素晴らしいことである。実は、我々の仲間ですでに取り組んでおられる会がある。善通寺派青年会の諸師である。お大師さまの説かれる処の「済世利人」の精神で、できることからはじめていこうではないか。

このページのトップへ◆『六甲山 鷲林寺』HPより